スイカ、メロン、マクワウリとは(特徴)
いずれも野菜の中ではもっとも高温性です。多湿、多雨を嫌い、乾燥地を好みます。水はけがよく、日の当たりのいい場所を選んで栽培するのが基本です。
「スイカ」
ウリ科
●原産地はアフリカのサハラ砂漠周辺
●暑いのが好き、寒いのは苦手
●多湿・多雨は苦手
●肥料が多いとツルボケ
「メロン」
ウリ科
●原産地はインドのインダス渓谷あたり、そこから西に伝播した西洋系メロン
●暑いのが好き、寒いのはとくに嫌い
●多湿・多雨は苦手で雨よけが必要
●肥料が多いとツルボケ。根が弱い
「マクワウリ」
ウリ科
●原産地はインドのインダス渓谷あたり、そこから東に伝播した東洋系メロン
●暑いのが好き、寒いのはとくに嫌い
●多湿・多雨はやや苦手
●肥料が多いとツルボケ
基本:〝ネギ鞍つき〟に苗を植えて根を強く育てる
スイカはウリ科の中では唯一、直根を持っている
スイカの原産地はアフリカのサハラ砂漠周辺です。非常に乾燥した痩せた土地ですが、スイカは雨期がくると発芽して、やがて乾期に実をつくってタネを残します。
キュウリをはじめウリ科の特徴は“浅根”ですが、じつは、スイカだけは太い直根を持ち、側根も深く張ります。どうしてでしょう?
スイカの原産地は水はけがいい砂漠です。雨期が終わるとたちまち乾燥し、土の表層には水がなくなってしまいます。そんな環境のもと、スイカは根を深く張ることで地下の水分を吸っているのです。
スイカを植えるときには、根の張り方に着目して畝を用意すると、育ちががぜんよくなります。おすすめは“ネギ鞍つき”です。
苗を植える1か月くらい前にネギ鞍つきを用意しておくと、ネギの根と微生物の活動によって土が団粒化し、水はけと水持ちが向上し、同時に病原菌も抑えられます。
メロンとマクワウリも湿気と多雨を嫌い、乾燥を好みます。スイカと似た性格をしています。
日本の夏は雨が多く、それぞれの原産地とは気候がまったく異なります。湿気が多いと根腐れや病気が心配です。水はけが悪い畑では、明渠や点穴をつくるなどして、水が滞留するのを防ぐが工夫が必要になります。
メロンとマクワウリは同郷どちらも寒がり屋
メロンの原産地は諸説ありますが、インドの砂漠周辺が有力のようです。気候の特徴は高温と乾燥。雨が降るときと降らないときがはっきり分かれています。
インドから中近東へ、そしてヨーロッパへと西に伝播したメロンは、品種改良が重ねられて、網目のある「西洋系メロン」となりました。
一方、中国に伝わったメロンはマクワウリなどの「東洋系メロン」となり、日本でも弥生時代の遺跡からタネが見つかっています。
マクワウリは、日本でも古くから栽培されてきた野菜で、各地に“ご当地マクワウリ”があります。三者の中で育てやすいのはマクワウリです。
西洋系メロンは、日本からヨーロッパに向かってどんどん遠ざかりながら進化したわけですから、日本での栽培は難易度が高いのもうなずけます。
ちなみに、メロンは、温室メロン、ハウスメロン、マクワ型メロン、マクワウリに大別されます。
温室メロンは表皮に網がついた高級ネットメロンです。ハウスメロンには、ネット系とノーネット系があります。家庭菜園でよくつくられているメロンで、多くの品種があります。読者アンケートでは「アンデス」「ムーンライト」「ころたん」が人気でした。
マクワ型メロンはとても栽培しやすく家庭菜園向きで、代表は「プリンスメロン」です。
メロンもマクワウリも高温性の野菜です。栽培初期に寒さにあうと苗がいじけてしまい、うまくいきません。また、多湿を嫌いますから、スイカ同様、畝はネギ鞍つきが有効です。メロンは雨に弱いため、ビニールトンネルやハウス内で雨を避けて育てます。
ネギ鞍つきにスイカを定植
ネギ鞍つきは、竹内孝功さんが推奨する、土づくりを兼ねた畝。水はけと水持ちがよく、生物活性が高いのが特徴です。
苗を植えつける位置に、少量の有機物(完熟堆肥など)を埋めて土をマウンド状に盛り上げ、ネギの苗をてっぺんに植えておきます。1か月程したら苗を植えます。
メロンには雨よけの工夫が必要です。露地の家庭菜園では、ビニールで屋根を設置する方法がおすすめです。これで梅雨を乗り切ります。スイカも、株元に雨よけを設置しておくと育ちがよくなります。