Q2:大きいタマネギ苗、小さすぎる苗はどうしたらいい?
*質問
タマネギ苗は、大中小のサイズ別に分けて “同級生植え”をするといいと聞きました。ただ、大きすぎる苗はトウ立ちが、小さすぎる苗は寒さで消えるのが心配です。
*回答【田中さん】
大きな苗は20cmの長さに草丈をそろえて定植するといいです。小さい苗はペコロス風に育ててみましょう。
おっしゃる通り、同級生植えは有効な植え方です。苗の草丈と太さも見て大中小にクラス分けしてください。太さが違う苗を一緒に植えると、細い方は太い方に負けてしまいます。
鉛筆よりも太い苗はトウ立ちする危険性がありますが、草丈が高い苗でも根の太さが適当なら問題ありません。20㎝くらいの長さで葉を切りそろえ、同級クラスに加えて植えるといいでしょう。
タマネギの畝をつくったら、小さい苗エリア、中くらいの苗エリア、大きい苗エリアに分けて定植します。生育に差が出ませんから、小さい苗エリアのタマネギも十分に食べられる大きさになるから心配いりません。
それから、細い苗のユニークな利用法があります。細い苗を集めて、株間5cmくらいに密集させて植えておきます。すると小さなタマネギ、ペコロスを収穫できます。我が家では、まるごとシチューやカレーに使っています。
*回答【瀬山さん】
大きく育った苗は、葉タマネギ用として割り切って利用するとお得。小さい苗は苗床で育苗を継続します。
雨が多くて暖かい日が続くと、苗は窒素分をよく吸って、大きく育ってしまいます。また、苗の大きさに大小のバラつきもあると思います。大苗になっても使い道があります。
大きく育った中生や中晩生の苗は、定植すると春のトウ立ちは避けられないかもしれませんが、そんな大苗もちゃんと定植してあげましょう。
翌春、トウ立ち前に葉タマネギとして収穫すればいいので、残念がることはありません。炒めて食べるとおいしいです。
一方、あまりにも小さい苗は抜かないで苗床に残しておきます。定植用の苗を掘り上げて株間があくと、小さかった苗もグンと大きくなりますから、いいタイミングで掘り上げて畑に定植するといいでしょう。地域によって、定植は1月末から2月上旬までならなんとかなります。
タマネギの苗はサイズ別にクラス分けしてから畝に植えつけるといい。
Q3:タマネギが収穫前に腐りだします。どうしたらいい?
*質問
収穫が近づく頃になると、タマネギの玉部分が腐りだしてダメになります。
農薬を使わずに病気を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?
*回答【田中さん】
軟腐病だと思われます。水はけをよくして多肥にも注意。トウ立ちするタマネギには病気が出やすいです。
軟腐病(なんぶびょう)は、春になるとタマネギに出やすくなる病気で、玉がドロドロに腐って嫌な臭いがします。
軟腐病を起こす細菌は土の中にいます。雨で泥がはねて葉や玉にき、アザミウマなどの害虫につけられた傷口から入り込んでタマネギをおかします。
肥料が効きすぎて軟弱に育ったタマネギや、トウ立ちするタマネギは軟腐病が出やすくなります。
トウ立ちを防ぐこと、それから肥料を与えすぎないことが重要です。
冬を越して追肥をしますが、私の畑では、追肥をするのは、早生種は1月末まで、中晩生には3月上旬まで、と決めています。どの野菜もそうですが、肥料を多く与えるとロクなことがありません。
あとあとまで肥料が効いてしまうように追肥をすると、タマネギにアザミウマなどの害虫が多く寄ってくるようになりますし、おかげで病気が出やすくなります。
基本的なことですが、畝は水はけをよくしておきましょう。根腐れを起こして、タマネギが弱ると、病気に反発する力がなくなります。私は、病害虫を寄せつけない、健康なタマネギを育てることを第一に考えています。
ホームセンターの種苗コーナーに行くと、スラリと細くてしなやかな、格好のいい苗が並んでいます。ハウスで甘やかされて育てられた“イケメン風”の苗は、早生なら問題ないのですが、中生や中晩生の苗を選ぶ際には、背はあまり高くなくても、根元の白い部分が少し丸くて養分を蓄えているガッシリした苗がいい苗だと思ってください。定植後に、少しくらい寒くても、自分の養分で根をしっかりと張る力を持っている苗です。(瀬山)
Q4:ラッキョウが緑色!植え方が悪かった……
*質問
ラッキョウのタネ球の植え方は浅植えがいいと教わり、その通りにしました。収穫したらラッキョウが白くありません。土寄せをしないのが原因だと言われました。
*回答【田村さん】
浅植えしたら土寄せをしないとラッキョウは緑色がかります。深植えなら土寄せは不要。私は深植え派です。
私の農園ではラッキョウのタネ球を8月下旬~9月上旬に植えます。その際、私は深めに植えています。
確かにネギの仲間は浅く植えられるのを好むようです。ですが、ラッキョウは育つと地面から頭を出してきますから、白いラッキョウをつくるには土寄せが必要です。株元に土をかけて光を遮り、ラッキョウが緑色になるのを防ぎます。
私の場合は深植えをして、土寄せの手間を省いています。
植え方は“田植え方式” です。タネ球を3本の指でつまんで、株間15cmで土に押し込んでいきます。条間も15cmです。田んぼでイネの苗を植えるのに似た感じの作業になります。
深さは、タネ球のお尻(茎盤)が地表面から10cmの深さになるようにしています。植えてできた穴は、周囲の土を落として埋めます。埋めたあとに鎮圧はしません。フワフワのままです。
ラッキョウはお尻の部分、つまり茎盤から根を出します。茎盤の下が鎮圧されていれば十分です。タネを押し込んだ際に茎盤の下の土はしっかりと押されていますから、これでタネ球は必要な水分を茎盤から吸えます。
深く植えると縦長の涙形のラッキョウになり、浅く植えるとまるっこいラッキョウになります。その違いです。
タマネギ苗の世話をする田中さん。ネキリムシなどによる被害を毎日チェック。