
監修:三浦伸章(みうらのぶあき)氏
春作用の男爵薯を秋に育てて収穫する
春ジャガイモの収穫は中間地では6月中旬~7月下旬です。
関東以西の暖かい地域では、続いて秋ジャガイモの栽培ができます。秋作では、アンデス赤やデジマなどの休眠期間が短い品種が栽培されます。
私は、休眠期間が長い男爵薯などの春作用ジャガイモも、秋作で楽しんでいます。ちょっとしたワザで可能になります。使用済み種イモの再利用です。
春に大きめの種イモを切らずにまるごと植えた場合、収穫時に元気そうな種イモが残っていることがあります。茎も青くて皮にシワがそれほど寄っていません。普通なら使用済みの種イモは捨ててしまうところですが、私は捨てずに、茎を3cmくらい残して切って、用意しておいた畝にすぐに植えます。
茎の節から自然に新しい芽が生長してちゃんと葉が茂ります。土寄せをして育て、霜が降りる頃に収穫しています。

養分を使い切っていない種イモがあったら、秋作用に再利用できます。ただし、傷んでいる箇所がある場合は使わないこと。そこから腐ることがあります。

好適な土壌環境がイモの腐りをなくす!
低栄養で水はけもいい畝でジャガイモを健康に育てる
使用済みの種イモをうまく再利用できるのは、低栄養で水はけもいい畝でジャガイモが育っているおかげだと思います。
土づくりは大事です。未熟な畜ふん堆肥など、窒素分が多めの有機物をすき込んだ畑では、ジャガイモに限ったことではなく、育てた野菜はたいてい保存性が悪く、腐るのが早いです。
私は、春ジャガイモを収穫適期に掘り上げずに、土の中に残したまま保存することもあります。梅雨や高温期を経ても、イモが腐ることはめったにありません。
さて、ジャガイモは葉が枯れだしたら収穫のサインです。天気のいい日が3日くらい続いて、土が乾き気味のときに掘り出しましょう。まずは、おいしい新ジャガを味わいましょう。
表面の土が乾くまで転がしておく

掘り上げたイモは皮についた土が白っぽく乾くまで半日くらい畑に転がしておきます。家に持ち帰り、段ボール箱などに入れて光に当てないようにして保管します。
ジャガイモの収穫は、葉が枯れだしたら。株元から20~30cm離れたところにショベルをさし込んで土を起こします。

茎を持って引っ張るとイモがついてきます。みずみずしい新イモを楽しめます。掘り残しがないか、土の中を探ります。

新イモを株からはずし再利用できそうな種イモを探します。養分を使い切っていない種イモを捨てるのはもったいない。持てる力を無駄なく最後まで出し切っていただきましょう。

●休眠が〝浅い〟品種は、新イモを秋作の種イモに利用する
●休眠が〝深い〟品種は、使用済みの種イモで秋ジャガイモづくり