【Point1】秋冬野菜がおいしくなる肥料の与え方
肥料が多いと必ず失敗する!
野菜の性質で覚えておきたいことがひとつある。野菜は土の中に養分があればあるだけ、どんどん吸収するということだ。
そのため、肥料を多く施した畑では、野菜はたちまちメタボになり、味が悪くなるだけでなく、害虫がつき病気も出やすく、栽培にとことん苦労する。
野菜が本来持っている味を引き出すには、適量の肥料で育てることが重要になる。
Part2、Part3(※)では野菜ごとに有機肥料の量を紹介しているので、参考にしてほしい。ただし、記されている分量をそのまま畑に施すのはちょっと待って。有機栽培を続けている畑は、土が肥沃になっているので、養分過多になる可能性があるからだ。
まず、春に堆肥と有機肥料を元肥(最初に施す養分のこと)として施して夏野菜を育てた畑なら、秋冬野菜づくりでは元肥は基本的に不要。栽培中に養分が足りないと感じたら、少量の有機肥料をまいて追肥しよう。
秋冬野菜用に元肥を施した畑なら、翌年の夏野菜は元肥なしで栽培を始めるといい。このように有機栽培では、元肥は1年に1回で十分だと考えるとちょうどいい。
新規の畑や化学肥料を使っていた畑で有機栽培を始める場合は、微生物が少なく土が肥えていないので、記してある量の元肥(堆肥、有機肥料、有機石灰)を土に混ぜて土づくりをし、タネまきや、苗植えをするといい。
(※)Part2、Part3については、誌面でご紹介しております。
*春に元肥を入れた有機の畑
秋冬野菜は追肥中心でつくる!
夏野菜を育てるために春先に堆肥や有機肥料を施した畑なら、秋冬野菜を育てる前に堆肥や肥料を施さなくて十分。土は肥沃な状態なので、畝の形を整えたらタネまきや苗の植えつけを行い、生育途中で肥料が足りないと感じたら少量の有機肥料を株の周囲にまいて、追肥をして育てる。
*有機栽培スタートの畑
しっかりと元肥を施す!
新規に畑をつくる場合は、土づくり資材を土にしっかりと施しておく。雑草を取り、土を耕して小石などを取りのぞき、土を寄せて盛り上げて「畝」をつくる。堆肥、有機肥料、有機石灰などの土づくり資材を畝の表面にまいて、鍬で土に混ぜておく。2週間~1か月すると、土壌微生物が活性化し、野菜が育つ土になる。
バーク堆肥、牛ふん堆肥など手に入るものを利用する。水はけ、水持ち、通気性などが改善され、かたい土がやわらかくなる。土壌微生物が活性化する。
●有機肥料
米ぬか、油かす、ボカシ肥料など、養分の濃い有機物を少量施す。有機肥料は、土壌微生物によって十分に分解されたあと野菜の根から吸収される。
●有機石灰
かき殻や貝化石などを砕いたもの。酸性に傾きがちな土壌を、アルカリ性の有機石灰を混ぜて中和し、野菜が育つのに適した弱酸性~中性の土をつくる。
【Point2】適期まきは秋冬野菜のお約束
寒さに向かう時期なので、植えつけは待ったなし!
夏野菜は春に植えて暖かくなる時期に向かって育つので、多少植え遅れてもやがて追いつく。
その一方で、秋冬野菜は涼しい時期に植えて寒さに向かって育っていくため、植え遅れると致命的。気温が下がると生長が鈍って、収穫サイズに至らないことがあるからだ。
のんびり構えていると失敗する。植えつけやタネまきの適期が短いことを覚えておこう。タネ袋の情報をチェックして時期をはずさずに栽培を始めるのが成功の秘訣だ。
【Point3】タネをまいたらしっかり鎮圧
水やり不要で発芽がそろう!
◆しっかり鎮圧すると…
鎮圧すると、地下から毛細管現象で上がってきた水が土の表層でキープされ、土が乾きにくい。また、タネと土とが密着して水分を吸収しやすく、スムーズに発芽する。
◆鎮圧が足りないと…
鎮圧が甘くて土がフワフワだと、水分が蒸発して土が乾きやすい。土とタネが密着せず、水分の吸収もしにくく発芽がそろわない。雨でタネが流されることもある。