「べにはるか」を蒸して天日干し
近年、干しイモの原料として主流となっている「べにはるか」。いままでの品種より“はるか”に優れるという意味から命名された。糖度が高く、なめらかな食感が特徴。干しイモにすると極上のおいしさ!
【栽培】おいしいサツマイモは、土づくりから
*微生物が働きやすい土壌づくりを目指して
茨城県では干しイモづくりが盛んです。とくにここ、東海村近辺はサツマイモ栽培に適した水はけのよい土壌、冬場に晴天が続く乾燥した気候、太平洋から吹く海風など自然の恵みのおかげで、おいしい干しイモの産地となっています。いまでは茨城県産の干しイモが、全国シェアの約9割を占めています。
サツマイモ栽培は15年前から農薬や化学肥料、除草剤を一切使用せず、微生物が働きやすい土壌づくりを第一に考えて行っています。長年の栽培経験からサツマイモに限らず、いい野菜が育つ畑の条件は、ケイ酸をはじめ、微量ミネラルが豊富に含まれる土壌だと思います。
窒素分が多いと収量が減ったり、病虫害が増えたりしますので、肥料は与えずカヤ、雑草、サツマイモの残渣、それから干しイモづくりで出た皮などでつくった完熟堆肥を畑にコツコツ入れ続けて、ケイ酸が豊富な土壌をつくってきました。ハスモンヨトウなどの害虫対策には、食酢を利用しています。
私の畑では昨年15トンの種イモを伏せ込みました。干しイモ加工にも向く1本250~350gのサツマイモの収穫を目標にして、毎年、栽培を行っています。
*ほどよく湿った高畝にマルチを張って適湿を保つ
3月上旬にハウス内で伏せ込みをします。地温30度で発芽するように二重トンネルなどで管理し、発芽までは極力水を与えないで根張りを促します。
東海村の冬は乾燥するので、土の飛散防止のために畑でムギを育てています。ムギは春に刈って、色が抜けたら畑にすき込んで緑肥としても利用します。
畝上げは4回ほど粗く耕起して、土の中に酸素が入るようにしてから行います。
畝は30㎝ほどの高畝。水はけをよくするためですが、高い分、雨が降らないときは土が乾燥しやすくなってしまいます。栽培中に適湿を保つには、土がほどよく湿っているときに畝立てとマルチ張りをすると安心ですね。畝と畝の間は、1mほどとっています。
【苗をつくる】
3月上旬に種イモの伏せ込みをする。サツマイモは切り口がない根の方から発芽するので、向きをそろえて並べ軽く覆土。3月下旬に発芽したらほとんど放任でよい。苗がスクスクと育っている。
【畑の準備】
3月中旬から畑の準備をする。土がほどよく湿っているときに行うといい。30㎝の高畝に95㎝幅のサツマイモ専用マルチを張る。畝間は1mあるとその後の作業がしやすい。
*大きさをそろえるために定植時期で株間を変える
4月下旬から6月上旬、葉が7~8枚になったら苗採りと定植です。適湿の土なら問題なく根付きますが、雨が降らずに苗がしおれるようなら水をたっぷり与えるといいでしょう。
株間は基本的に30cmですが、定植時期の終わり頃は若干、広くします。遅く植えると栽培期間が短いので、早く大きくする必要があります。そのために葉の広がる面積を大きくするのが目的です。ゆったりと植えることで、遅い定植でも1本250~350gのおいしいサツマイモが採れます。
定植後は、ほぼ放任ですが悪天候や低温続きでツルの伸びが悪いときは、自家製の酵素液を100倍に希釈して葉面散布します。以前、通路に草が茂って日が遮られたことがあり、肥大が悪く収量も落ちたことがありました。そんなケースでも酵素液を散布したところ、肥大スピードも速まって、いいサツマイモが採れました。
【苗採りと定植】
①4月下旬から苗採り。6~7日後に次に伸びた苗を採ることを繰り返すので、ひとつのサツマイモから約20本の苗が採れる。
②束ねた苗はコンテナなどに立て暗いところに3~4日ほど置く。