はじめに
水耕栽培は、土を使わない養液栽培のひとつの方法で、特に根を養液中に浸して育てる栽培方法です。
水にはほとんど肥料となる成分が含まれていないため、植物の成長に欠かせない成分を、養液で補うことが必要です。
養液には植物の成長に必要なチッ素、リン酸、カリの3要素のほか、必要不可欠なミネラル類が入っています。これを水に溶かして、野菜を育てます。
水耕栽培で使う容器として専用の栽培キットもありますが、熱帯魚用の水槽やペットボトルを使ったり、100円ショップで販売されているバケツなどで代用することもできます。
種から育てる
野菜は、市販されている種袋の中にある種から育てます。
苗を育てるセルトレイやポットに種をまき、そこで苗になるまで育てます。
さらに間引きしながら良い株を残して、養液を入れた容器(タッパー)に植え替えて栽培を続けます。
ちなみに種には発芽に光が必要な「好光性種子」と、発芽に光を必要としない「嫌光性種子」の2種類があります。「好光性種子」は発芽するときに光が必要になるため、種をまいた後にごく薄く土をかけます。
苗から育てる
種から育てる時間がない時は、市販されているポット苗を使って育てることもできます。
まず、市販されているしっかりした株立ちのポット苗を選びます。その後ポット苗の土を洗い落とし、発泡スチロールの板に穴を空けたものに植えつけます。
さらに水耕栽培専用の養液を加え、日当たりと風通しの良い場所で育てます。
苗から育てる場合、種から育てるものより早く栽培することができます。
肥料について
植物が成長するためには、多量要素、微量要素(※)といった、さまざまな肥料成分が必要です。
土の中にはこうした成分があらかじめ含まれているため、土耕栽培用の肥料として市販されているものには特定の要素と微量要素がほとんど含まれていないものもあります。
このため誤って水耕栽培で土耕栽培用の肥料を使うと作物が栄養不足になり、うまく作物が育ちません。
水耕栽培の場合は、こうした成分が十分に含まれている専用のものを使いましょう。
※多量要素:チッ素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム
※微量要素:鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、銅、亜鉛
養液は水で規定量に希釈してから使います。
水耕栽培で使う液肥の場合、植物が必要になる成分を多く入れると液体の底の方に沈殿することがあります。このため、市販されている2種類の液肥を水に混ぜ、希釈したものを使います。
また液肥によっては粉状のものを水に溶かして使うタイプもあります。パッケージに書かれている表示を参考にしながら、正しい順序で水と混ぜて希釈しましょう。
養液は、容器の中に3分の2~4分の3になるように入れます。養液が少なくなったら継ぎ足し、また1カ月に1回程度はすべて養液を入れ替えるようにしましょう。
液肥の作り方(ハイポニカ液肥の場合)
1 市販のハイポニカ液肥A液とB液と水を用意する
2 容器に、指定の分量の水を入れる
3 A液を計量して入れる
4 B液を計量して入れ、よく混ぜる