
元気に育つ野菜は防御力が高い
野菜についた害虫を放置すると、あっという間に増殖します。見つけ次第退治するのが防除の基本です。
さて、健全に育つ野菜は体内に防御物質をつくり、害虫から身を守ろうとします。害虫につけ込まれるのは、肥料を与えすぎた野菜か、養分が足らずに弱々しく育った野菜です。
野菜の健全な生長には、適量の有機物を補い、好適な栽培環境を整え、旬の時期を外さない栽培が大事です。
そのうえで、害虫が多いうちは防虫ネットのトンネルを利用し、混植栽培や敷きワラなども活用して、天敵が棲みたいと思える畑をつくりましょう。
1. 害虫が多いうちは防虫トンネルを利用
有機栽培を始めたばかりで、土がまだ育っておらず、天敵も少ない畑では、害虫被害が出やすくなります。防虫ネットのトンネルで畝を覆い、物理的に害虫を防除しましょう。

2. 敷きワラ、草マルチを利用する
畝や通路に、ワラや刈り草、もみ殻などを敷いておくことをおすすめします(有機物マルチ)。
地温が安定し保湿効果が得られ、土壌微生物が繁殖し、野菜が育つのに適した肥沃な土へと変わります。肥料に頼らなくても野菜が育つようになります。
有機物マルチはさまざまな生き物の棲み家になります。徘徊性のクモが増え、野菜についた害虫を捕食してくれます。ハダニを捕食するカブリダニも繁殖します。ハダニは野菜について吸汁する害虫です。
土を裸のままにせず、ワラや刈り草などで覆うことで、害虫の出にくい畑づくりが可能になります。

3. 花やハーブを畑で育てる
花が長期間咲くハーブ類を育てておくと、多くの寄生バチや狩猟バチを呼び寄せることができ、野菜についた害虫はいつの間にかいなくなります。
アブラムシを捕食しに集まるテントウムシ、アザミウマを捕食するヒメハナカメムシなどは、エサとなる害虫が不足しても、花粉を代用食にして畑に居ついてくれます。
ホーリーバジル、カモミール、ボリジ、ナスタチウム、マリーゴールド、ソバなどを畑の随所で育てておきましょう。


4. ムギ類の障壁をつくる
株間や畑の周囲にムギ類(エンバク、ライムギなど)やソルゴーを育てて障壁をつくりましょう。飛来する害虫を食い止め、徘徊性のクモやカマキリの棲み家にもなります。ムギ類やソルゴーにアブラムシが繁殖するとテントウムシが集まり、害虫に対する畑全体の防御力が高まります。

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