波板トタンでつくった高畝に植え、ワラで被覆したイチゴ。
相性のいいニンニクと混植。
冬こそ〝過乾燥〟に注意!適度な水やりで助ける
まもなく厳寒期。露地の野菜は生長を止めて根を張り、じっと寒さに耐える試練の時期です。
一見、畑の野菜たちはほとんど変わらないため、「冬は水やりしなくてよいのでは」と思われがちです。しかし、もちろん生命活動を止めているわけではなく、根はしっかり生きていて、少しずつ水を吸っています。
そこでこの時期に気をつけたいのが、“過乾燥”。冬は雨が少ないため、水不足を放っておくと、冬の間に枯死、あるいは春からの生育不良につながります。
ただし、冬の水やりは「晴れた日の暖かい昼間」が鉄則です!早朝や夕方の水やりは気温が低く、凍害を招くので禁物。2週間雨が降らず、乾燥していたら水やりをします。この時期、とくにニンニクやタマネギがしっかり水を吸えると、春からの球の肥大がスムーズになります。水の代わりにストチュウ水を使うと、鳥獣害予防になるほか、ミネラルを吸収してより健全な生育を助けます。
水やりついでに畑の見回りを
冬、水やりをするために畑に行くと、多くの重要な発見があります。たとえば、霜に当たって根が浮き上がってしまった株。そのままにしておくと露出した根が乾燥して枯れてしまうため、手で押さえて埋め戻しましょう。
もしもイチゴの花が早咲きしてしまったら、冬は結実しないので摘花。ランナー(ほふく茎。細いツルのような茎)も出ていたら切り、冬の間に養分を消費させないようにします。
そのほかヒヨドリやカラスなどの鳥獣害も早期発見することで、ネットを張るなどの対策を立てられます。
そして冬こそ使いこなしたいのが、被覆資材です。不織布は保温と保湿効果があり、タネまきの遅れなどで小さい野菜の生育促進ができます。一方、霜や強風を防いで現状を維持したい場合は、防虫ネットや寒冷紗のトンネルを。被覆資材の使い分けをご紹介します!
\越冬野菜を守る!/ 被覆資材の使い分け
*不織布
ホウレンソウやのらぼう菜などにべた掛けしておくと、保温と保湿効果で、土の乾燥を防ぎ、凍害を防ぐ。まだ小さい野菜の生育促進をしたい場合は、トンネルの被覆資材として使うと効果的。
*防虫ネット、寒冷紗
これらは“網戸”のようなイメージの被覆資材。トンネル被覆して使うと、強風や強い霜による被害を防ぐことができる。保温効果はほとんどないので、生育促進ではなく現状維持に効果的。ムクドリなどの食害も防げる。ホウレンソウなど冬の葉菜に。
*もみ殻、もみ殻くん炭、ワラ
土が露出しないように覆っておくと、乾燥や霜害を防ぎ、雑草を抑えられる。黒マルチの穴の被覆材としてもおすすめ。もみ殻くん炭は、黒色が光と熱を吸収するため、保温効果が高い。ニンニク、タマネギ、イチゴ、エンドウ、ソラマメなどに。
※もみ殻の注意点
くず米が混ざっていると、スズメやカラスが食べに来てしまう。心配な場合は、もみ殻くん炭を混ぜる、またはストチュウ水をかけて、炭のにおいをつけておくと鳥獣被害を減らせる。
2024年12月~2025年1月 自然ごよみと“のら仕事”
*12月
●新月(12月1日)
・土壌診断を依頼するなら、この時期に。事前にホームセンターなどで採土の方法などを聞いておこう。結果が出るまで1~2か月かかる。
●満月(12月15日)
・霜柱が本格的に立つ前に、ホウレンソウ、シュンギクなどの葉物野菜は不織布をべた掛けにする。
・エンドウ、ソラマメ、春キャベツなどは、ワラやもみ殻くん炭で株元を覆う。
・ダイコンは土寄せし、ハクサイは縛っておく。ネギやタマネギはワラを重ねるか、不織布べた掛け。
・麦踏みを年内1回、年明け1~2回。踏むことで霜柱を防ぎ、根張りをよくする。
タマネギの畝をワラで保温。
●新月(12月31日)