味噌ってなんだろう?
和食には欠かせない調味料といっても過言ではない味噌。白味噌、赤味噌、合わせ味噌。ひとくちに味噌と言っても種類がたくさんあって、結局自分が使っている味噌が、なんの味噌なのか知らない人も多いのではないでしょうか?
*私たちが味噌を食べる理由
厚生労働省などで、味噌とがんの関係について研究が行われています。乳がんや胃がんなどに効果が期待でき、味噌汁の摂取量が多いほど、乳がんになりにくいという結果が発表されています。
大豆に含まれるリノール酸には、コレステロールを体外に排出する働きがあります。また味噌の褐色色素であるメラノイジンは血糖値上昇を緩やかにしてくれるので、糖尿病予防にも。
麹菌や乳酸菌は、善玉菌のエサとなり、腸を活発にします。善玉菌が増えることで便通がよくなり、免疫力があがります。さらに代謝が改善されるので、肥満予防や美肌効果も期待できます。
味噌に含まれる「コリン」という物質は、アルコールを早く体外に出そうとする働きがあります。お酒を飲んだあとに、お味噌汁でしめると、翌朝に効果が期待できます。
老化を防ぐには抗酸化作用のある食品を摂ることが大切。味噌には、褐色色素であるメラノイジンや大豆イソフラボンなど、抗酸化作用がある物質が多く含まれています。
味噌には、メラニンの合成を抑える働きがあり、シミやソバカスを防いでくれます。大手味噌メーカーによると味噌汁を毎日飲んだ人は、肌の水分保持量が多いという研究結果があります。
*味噌を分類してみよう
味噌の味は、甘味、塩味、旨味、酸味、苦味、渋味などが複雑に絡み合ってできていますが、塩分濃度によって、「甘味噌」「甘口味噌」「辛口味噌」と分類ができます。
味噌の原料のうち、塩の量が多くなれば、辛口になり、麹の量が多くなれば、甘口になります。塩分が同じであれば、麹歩合が高い方がより甘くなります。
甘口味噌は、まろやかで優しい味なので、野菜スティックなどでそのまま食べるのに向きます。
辛くなるにつれて、味に角がたつので、料理の味が決まりやすくなります。
味噌の色は熟成期間が長くなるほど、色濃く変化していきます。これは、発酵熟成中に起こるメイラード反応によるものです。
玉ねぎを炒め続けるとどんどん茶色くなり、甘くなることと同じ現象で、味噌のメイラード反応は、原料である大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐色に変化していきます。
これは、原料の大豆の種類や麹の量、加熱方法などによっても色が変わってくるので、この色だから、この味!という風には判断できません。市販の味噌でも熟成は進むので、時間が経つにつれて濃く変化していきます。
味噌にまつわるエトセトラ
味噌を語る上で聞いたことはあるけれど、実はよく知らない、という言葉を集めました。長年の疑問がここで解決されるかもしれません。
八丁味噌?西京味噌?
赤味噌の代表格「八丁味噌」。白味噌の代表格「西京味噌」。赤味噌=八丁味噌ではありますが、八丁味噌だけが赤味噌ではありません。
前述のように、赤味噌と分類されるのは、熟成期間が長い味噌の総称なので、八丁味噌を含む赤い味噌はすべて赤味噌、ということなります。西京味噌も同様です。
八丁味噌
八丁味噌は、愛知県岡崎市の八帖町(旧八丁村)に由来しています。
豆麹で作られる豆味噌のうち、現在の岡崎市八帖町(旧・八丁村)で、江戸時代初期より、旧東海道を挟んで向かい合った2軒の老舗「カクキュー」と「まるや」が伝統製法で造り続けている豆味噌の銘柄です。
つまり、この2社で作られたもののみ、八丁味噌と呼ばれます。
西京味噌
京都府内で作られている甘い風味の味噌。京都の味噌なのに西京味噌と呼ばれるのは、明治維新によって都が江戸へ移ったことで、江戸は「東京」になり、西の都である京都を「西京」と呼ぶようになったから。
西京味噌の熟成はとても短期間で、1週間から10日ほどで仕上げます。
また他の地域の白味噌と違い、水飴などの甘味料は使用せず、麹歩合20歩で塩分濃度は5~6%です。