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「おいしい野菜をつくる11か条」から2つを解説!

「おいしい野菜をつくる11か条」から2つを解説!

美味しい野菜をつくるための極意を解説!11か条のうち、2つをピックアップしました。著者は無農薬栽培研究家の能登山修氏です。

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【その1】おいしさが生まれる秘密を知ろう

栽培のやり方で味は大きく変わる。早く大きくより、ゆっくり育てた野菜のほうがおいしい。急がされない野菜は裏切らない。

<1> 野菜の育ち方がわかると栽培方法の違いもわかってくる

野菜はタネ(タネイモ)から育って、次のタネ(タネイモ)を残して一生を終えます。でも栽培では、ほとんどが生育途中で収穫してしまいます。そのため野菜の一生を意外と知らない人が多いので、ここではまずそこから紹介します。知ることによって、いろいろな栽培のヒントが見えてくるからです。例えば、その野菜の収穫時期にその野菜の元気さがピークになるよう育てるとおいしくなる、などという話です。

ここでは理解しやすいように、野菜の一生を人間に対比しながら紹介していきます。まず、野菜はタネの栄養を使って芽を出します。芽が出ると光合成がはじまり、自分の力で栄養をつくって生長するようになります。生長の度合いは、本葉1枚できたら人間の1歳児と考えるとわかりやすいです。本葉5枚なら5歳児、ここまでが野菜の初期生育期でいちばん大切な時期です。ここから1本仕立てなどして、本格的に自立させて育てます。人間でいえば幼児から青少年期への移行で、この時期を栄養生長期と呼びます。

大きく育った野菜は、次に花を咲かせ実をつけ、タネをつくる行動に移ります。この時期を生殖生長期と呼びます。人間なら思春期を経て結婚、出産する時期です。多くの野菜は1年草なので、タネができると一生を終え枯れてしまいます。

ここからまず大きなヒントがわかります。葉を食べる野菜、例えばコマツナやキャベツ、ネギなどは花が咲く前に大きく育てるのが大切になります。ブロッコリーやナス、トマトなどつぼみや実を食べる野菜はスムーズに花が咲くよう育てること、そしてタネをつくらせないうちに収穫することが大切になります。タネができる前に採られると、野菜はタネをつくるためにまた花を咲かせ実をつくるので、収穫できる数が増えるからです。

■野菜の生長と収穫時期の違い
野菜は品種によって収穫時期が違うので、収穫時期をピーク(旬)になるように育てるのがおいしい野菜をつくるポイントになる。擬人化して覚えると理解しやすい

<2> 野菜は自分で栄養をつくる 無肥料栽培にもできる

次にもう1つ知っていて欲しいことがあります。野菜は独立栄養生物といって、自分が必要とする栄養分を自分でつくっている生き物だということです。水と二酸化炭素から光合成で炭水化物をつくり、土壌からチッ素を吸収してタンパク質をつくっています。人間などの動物は従属栄養生物といって、必要とする栄養分を野菜や肉など外から得て生きています。全く違う生き方をしています。

人間に食べ物が必要なように、野菜にも肥料が必要なわけではありません。生長に欠かせないタンパク質をつくるために土壌からチッ素を吸収していますが、肥料から得るチッ素分がすべてではありません。土壌には、根粒菌が集めたチッ素、稲妻が落ちたときにできる酸化チッ素、動植物の遺骸などの有機物が持つチッ素などいろいろな形で存在しています。

化学肥料(人工栄養)栽培は肥料分なしで成立しませんが、有機栽培ならチッ素を肥料として入れなくても栽培できる状態はつくれるのです。

太陽をエネルギー源に水と二酸化炭素から炭水化物(デンプン)をつくり、このデンプンと土壌から吸収したチッ素を合体させてタンパク質をつくり、野菜は生長する。土壌のチッ素は有機物(米ぬかなどの肥料や野菜残渣など)やチッ素固定菌、雷などによってつくられる

<3> チッ素肥料が少ないと野菜はおいしくなる

野菜の育ち方がわかれば、おいしさの秘密も見えてきます。
野菜は葉で光合成をして炭水化物(デンプン)をつくり、これを糖分にして全身に配り、生きるためのエネルギーに使い、植物繊維(セルロース)で骨格をつくり、根からも放出して微生物を育て、余ったモノは葉や実、根に備蓄します。もう1つはタンパク質をつくるルートで、根から水と一緒に吸収したチッ素分を葉に運び、ここで炭水化物と合体させてアミノ酸をつくります。アミノ酸からタンパク質ができ、細胞を増やします。

野菜にとっていちばん大切な仕事は光合成で、ここでつくるデンプンが甘み、酸味、ビタミン、ポリフェノールなど野菜のおいしさの素になります。繊維質もつくるので細胞壁ががっしりした茎葉もつくります。野菜はこの同じデンプンを使って、チッ素からタンパク質もつくっています。タンパク質がたくさんできると細胞が増えて大きくなります。

早く大きく育てるか、おいしい野菜をつくるのかのポイントは、炭水化物をこのように2つのルートで使っているところにあります。野菜はチッ素分をたくさん吸収すればタンパク質がたくさんできるので早く大きく育ちます。逆にチッ素が少ない場合は生長が悪くなりますが、甘み、酸味、ビタミン、ポリフェノールなどが増えて、野菜のおいしさが増します。

野菜は光合成で炭水化物をつくり、炭水化物とチッ素がくっついてタンパク質をつくる。チッ素分が少ないとBよりAが多くなっておいしさが生まれ、チッ素分が多いとAよりBが多くなって大きく育つ

<4> 寒い時期は野菜が甘くなる 虫がいると野菜本来の味が出る

もう1つ野菜のおいしさをつくる秘密を紹介しておきましょう。それは水分の流れです。野菜は根から水分を吸い上げ、一緒にチッ素などの栄養分を吸い上げて、全身に配っていますが、これには浸透圧という作用が利用されています。濃度の低いほうから高いほうに移動するという力のことです。根から水を吸うときに土壌水分が薄く、根の中の水分濃度が濃いと、水分はスムーズに根の中に入ってきます。

野菜は、水分がたくさん欲しいときは、葉などに溜めていたデンプンを水に溶ける糖質などに替えて、水分濃度を高めます。トマトなどの栽培で水を少ししか与えずに甘くするという栽培法がありますが、これは水分不足になった野菜が、必死になって糖分濃度を上げて水を吸おうとする作用を利用したものです。

もう1つ、野菜を甘くする作用があります。それは冬に野菜が甘くなる現象です。これは寒さで細胞内の水分が凍らないようにするために、溜めていたデンプンを水に溶ける糖質に替えて、砂糖水状態にして凍らないようにするためです。野菜の体内全体の水分が糖質や酸味、ビタミンなどを溶かし込んだ状態になるので、この時期に収穫した野菜は甘くておいしいのです。

その他にも野菜をおいしくするものがあります。ファイトケミカルと呼ばれる害虫や病原体、紫外線、まわりの植物から身を守るために生成する化学物質です。これが第7の野菜の栄養として注目されています。1番目が炭水化物、2番目がタンパク質、3番目が脂質、4番目がビタミン、5番目がミネラル、6番目が植物繊維で、7番目がファイトケミカルです。体の老化を防ぐ「抗酸化作用」をはじめ、免疫力の向上や生活習慣病予防など、様々な健康効果が期待されています。

この物質は、身の危険を感じることでたくさんつくられるので、有機栽培のほうが農薬で保護された野菜より多くつくられ、野菜本来の味も醸し出します。

霜で寒締めされたホウレンソウ。糖度は2倍くらい上がる

<5> チッ素過多は野菜をまずくし害虫を呼ぶ

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