監修=山川 理さん
やまかわおさむ●京都大学農学部卒、農学博士。農林省九州農業試験場、農林水産省農林水産技術会議事務局、野菜・茶業試験場久留米支場、農林水産先端技術研究所などに勤務、イチゴやサツマイモの品種改良に従事。べにはるかを開発。現在、山川アグリコンサルツ代表。無農薬の家庭菜園でさまざまな野菜の新品種を育成している。
Q:友人から自家採種をしたトマトとナスのタネをもらいました。
5月の連休の定植に向けて、春から育苗を始めます。育苗期間は60~70日と聞きました。
ということは2月下旬~3月上旬にタネまきをすればいいのでしょうか。
A:早すぎるタネまきは要注意。定植も〝地温〟が上がったら。
猛暑・干ばつ対策には〝3日連続の水やり〟が有効です。
固定種トマトはぜひタネ採りをして進化させましょう。
詳細な解説
編集部(以下(編)) 菜園歴3年、“固定種のタネを入手した”という、神奈川県の読者から苗づくりの質問です。山川先生の菜園では、トマトやナスのタネをまくのはいつ頃ですか。
山川理さん(以下、山川) 昨年は、ミニトマトとピーマンは3月30日、ナスは4月2日にタネをまき、トンネルで保温して育苗しました。
質問者の方もタネまきを少し遅くすると育苗しやすくなります。しっかりした加温設備がない家庭菜園では、寒いうちにタネをまくと苦労が多いわりに、いい苗をつくるのは難しい。自然の暖かさを味方にするといいですね。
(編) 発芽適温、発芽後の生育適温をなるべくキープしようと、編集部では衣装ケースやビニール張りの育苗棚を利用して苗づくりをしています。
山川先生の菜園では、定植は5月の連休頃ですか?
山川 いいえ、定植は連休が終わってから行います。昨年は、5月13日にトマトとナス、6月4日にピーマンを植えました。4月下旬の定植では、冷え込む日がまだあるので心配です。地温が十分に上がってからでないと、定植しても根が動きません。活着が遅れると、その後の生長に影響します。
(編) 定植後もしばらくは保温が必要ですね。編集部ではあんどんか、不織布のトンネルで苗を守っています。
山川 私は穴あきビニールのトンネルを利用しています。天井にトマトの頭が達したら、トンネルを撤去して支柱を立てて誘引を開始します。
(編) 温かくて根がよく伸びそうです。ところで、同じ質問者からの問いですが、猛暑と乾燥でナス、トマトの成績が散々な結果だったとのこと。枯れるトマトもあったそうです。山川先生の菜園では、夏はどうでしたか?
山川 トマトが枯れたのは悔しかったでしょうね。こちらはおおむね順調でしたが、やはり花が落ちる時期がありました。高温期に実がとまらないのは、ナス科の生理的な現象なのでしかたありません。気温が下がれば花落ちせずに実がつきます。ピーマンは晩秋までおいしい実をつけ続けました。
(編) トマトが枯れるほどの乾燥、夏に雨が降らないのは困りますね。
山川 雨がまったく降らなければ、水やりの必要があります。
私は3日続けて、夕方にたっぷり水を与えます。バケツ1杯分を5株、1株あたりにすると2Lくらい。こうすると深い場所までしっかり水をしみ込ますことができ、しばらく雨がなくても大丈夫です。厳しい夏を乗り切ることができます。
(編) 水やりは夕方がいいのですね。
山川 午前中に水やりしても高温で乾きやすいです。夕方の散布は、地温が下がって熱帯夜対策にもなります。
(編) わかりました。無理のない育苗と定植でスタートを切ること、それから真夏の乾燥には“3日連続の水やり”で命をつなぐ。今年の夏の野菜づくりに希望が見えてきました。
山川 質問者の方は固定種のトマトを育てるとのこと。育ちがよく、おいしい実が採れた株からタネ採りを続けることをおすすめします。自家採種は簡単、高温や乾燥に強くて、おいしいトマトを手に入れることができます。
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