塗り絵の効果
◆心を整え解放させる
毎日生活する中で、誰しもがどこかで少しでもストレスを感じるもの。現実から一歩離れ、塗り絵に向かう─それはストレスで熱くなった脳の状態を違う方向に遊ばせることになります。
そうすることでゆとりが生まれ、今までの自分を振り返ることができ、心を整えることにつながるのです。
また、塗り絵は自分を思いのままに表現できる創造的な空間です。計算問題や漢字ドリルのような1つの答えを求める思考法を「収束的思考」といいますが、塗り絵はこのような思考の練習帳ではありません。
日々の制約された世界から飛び出し、自分の自由な発想を広げる発散的思考こそが、塗り絵の本質。塗り絵を通じて、のびのびとした開放感を感じてください。
◆からだを整える
人が疲れたな、と感じるとき、まずはからだを休めることが大切です。
リハビリテーションの世界では運動とともに休息も大切だと言われています。運動をすれば筋肉が鍛えられますが、休息時にも筋肉は作られているからです。
ゆったりとイスに腰かけ、塗り絵を通してからだを休ませる時間を取ってみてください。それまで、ドキドキと張り詰めていた交感神経系が休まり、副交感神経系が優位になることで、末梢血管が拡張し、からだ全体に血液が行き渡ります。
このようにからだを整えることは、次の時間のためにとても大切なことなのです。
◆充実感と自己肯定感を感じられる
自分の作風で自由に、鮮やかな絵を完成させる─この完成作品が、塗り始める前に思い描いていたようにできた方もいれば、一方で思いがけない絵になった方もいらっしゃるでしょう。
どのような絵もひと筆、ひとコマ、色を選び、鉛筆や筆を走らせた愛着のある絵になっていると思います。この完成形を成し遂げたという充実感は、心地よいものとして残ります。
そして、その充実感はさらに「自分には価値があるんだ」という自己肯定感につながるのです。この小さな成功体験の積み重ねが、日々の生活の質を高めてくれます。
◆脳を磨く
脳は私たちが思っている以上に、ダイナミックに変化しています。この変化する仕組みを「可塑性」といいます。
脳は使うことによって機能(働き)も構造(形態)も変化することが、これまでの多くの研究で報告されてきました。一生懸命に、しかも楽しみながら塗り絵に取り組む集中力は、主に頭の前に位置する前頭葉が担っていますが、この集中力こそ社会生活を営む上で基礎となる能力です。
塗り絵を通してこの集中力を磨いていただきたいと思います。
米国のアルツハイマー協会は、認知症予防に『脳のジョギング』を提唱しています。その中では脳を使ったさまざまな知的活動─絵画、音楽、手芸、ご友人との世間話など、なんでも「おもしろい」と感じることを夢中で行うことを勧めており、塗り絵もそのひとつ。
みなさんもどうぞ楽しみながら取り組んでみてください。
東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科教授、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医。
日本リハビリテーション医学会代議員、日本保健科学学会理事、認知神経学会代議員、東京都総合高次脳機能障害研究会理事長、東京都高次脳機能障害者相談支援体制連携調整委員会座長、日本脳外傷友の会顧問、東京高次脳機能障害協議会顧問。
作品の説明
あの世界遺産、あの街並、あのモチーフ、そしてあの物語…。心躍るすてきなイラストを塗りながら、世界一周の旅に出かけましょう!
パリにあるエトワール凱旋門は、花の都パリを象徴する建造物。これに彩りを添えるのは19世紀から愛されたパリのキャバレー、ムーラン・ルージュの踊り子と通い詰めた画家のロートレック。
塗り絵(無料ダウンロードあり)
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参考のカラーイラスト
アイデアや色の組み合わせに困ったときの、ご参考にしてみてください。
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