*被覆資材で畝を囲い暑さをしのぐ
滋賀県の菜園家、毛呂陽子さんは、トマト、ナス、キュウリの畝に防虫ネット、寒冷紗などを利用して猛暑対策。オオタバコガなどの害虫防除にも役立つ。成虫(蛾)は夜間に飛来して産卵するので、夜の間は囲っておくといい。
4. 夕方の水やりで涼をとる!
気温が高いと野菜は蒸散量が多くなり、野菜はそれだけ水を欲しがります。土が乾いたら水やりが必要です。
猛烈に暑い日には、朝の水やりは蒸発が多くてもったいなく、昼間の水やりでは葉が焼け、根が煮えて野菜のためになりません。野菜がよろこぶのは夕方の水やりです。株元にたっぷり水を与え、葉面にも水をサッとまき、葉の温度を下げてあげましょう。
5. 混植栽培で地面をカバーする!
写真はトウモロコシとラッカセイの混植例です。高温期にはラッカセイの葉で地面が覆われるため、地温の上昇と土の乾燥を防ぐことができ、トウモロコシの生育が促されます。
トウモロコシ+カボチャ、ナス+ラッカセイ、オクラ+スイカなど、背が高い野菜と地面を覆う野菜の混植栽培は、有効な猛暑対策になります。試してみましょう。
【ワザあり!】 日よけ栽培で猛暑を乗り切る
遮光シート、寒冷紗 防虫ネット、不織布を使い分ける
写真は毛呂陽子さんの畑の様子です。毛呂さんは、粘土質で水はけの悪かった畑を改良し続け、そのうえで、果菜類の猛暑対策などを実践して、おいしい野菜を育てています。
写真①は、イチゴ苗を養生する工夫です。トンネルとトンネルの間に遮光シートを渡して屋根をつくり、その下に苗採りをしたイチゴのポットを並べておきます。苗は強い日差しから守られます。
写真②は、秋冬野菜の栽培の様子。秋冬野菜のタネまきや定植は、8月~9月の暑い時期に行いますから、できるだけ涼しい環境をつくることが発芽や初期生育を促すポイントになります。
タネまきから栽培初期の猛暑をしのぐには白寒冷紗のトンネルが役立ちます。さらに暑いときには黒寒冷紗を重ねるのもおすすめです。ただ、黒寒冷をいつまでも掛けていると日照不足で野菜が軟弱気味に育つので注意します。
涼しくなったら防虫ネットに掛け替え、さらに気温が下がったら保温効果のある不織布に替えて栽培を続けます。
【ワザあり!】 ナスの草マルチは冬から始めてどんどん重ねる!
ハクサイの草マルチをナスの草マルチに継続利用
神奈川県の自然栽培農家、田村吾郎さんの畑では、草マルチを多用して野菜を育てています。夏の高温期でも水やりをすることなく、野菜は元気に育っています。田村さんに草マルチ利用のテクニックを伺いました。
「草マルチの効能を引き出すポイントは、時間をかけること。苗を植えてから草を敷くというタイミングでは遅いです。これでは突貫工事のようなもの。私の畑では、ナスの場合、前作のハクサイの草マルチを引き継いで利用します。ですからナスの草マルチ施用は、冬からスタートしていることになります」と、田村さん。
5月にナスを定植する際、草マルチを観察すると、草と地表面が接するところがすっかりなじんで、一体化した土のような状態になっていました。
田村さんは、ナスの定植後も草マルチを適宜積み足して、10cmくらいの厚さにしてナスを育てます。
「どの野菜も基本的に同様のやり方です。土となじんだ草マルチは、高温や低温、乾燥や多雨など、天候の変化に対して、かなりいい具合にコントロールしてくれます。この緩衝力は自然素材ならでは。おかげでこの夏も野菜は元気でした。ちなみに、突貫工事の草マルチの場合、高温期に草マルチがカラカラに乾くと、雨が降っても水をはじいて、下の土は乾いたままということがよくあります」と田村さん。