野菜によって、光を感じて発芽が促される好光性種子、光を感じると発芽しにくい嫌光性種子、光があってもなくても関係ない種子があります。ちなみにタマネギは嫌光性種子です。
好光性種子をまくときは、まき溝をやや浅めにつけ、薄めに覆土をして鎮圧します。
嫌光性種子をまくときは、まき溝をやや深めにつけ、厚めに覆土をして鎮圧します。
こうすると、それぞれ発芽ぞろいがよくなります。
好光性種子には、キク科(レタス、ゴボウ、シュンギク)、セリ科(ニンジン、セロリ)、シソ科(シソ)、ダイコン以外のアブラナ科(キャベツ、ブロッコリ―、ミズナ、カブ、ハクサイ、コマツナなど)などがあります。
嫌光性種子には、ダイコン、ヒガンバナ科(ネギ、タマネギ、ニラ)、ナス科(ナス、トマト、ピーマン)、ウリ科(キュウリ、カボチャ、スイカなど)などがあります。
なお、光が発芽に影響しないのは、エンドウ、ソラマメ、ホウレンソウ、トウモロコシなどのタネです。
どぶ漬け
【用例】苗をどぶ漬けすると根付きがいい。
ポット苗を畑に植える前に、ポットを水に浸して根鉢に十分な水を含ませることを、どぶ漬けといいます。
根鉢が適度に湿っていると、ポットをはずした際に根鉢が崩れにくく、根を傷めずに植えつけができます。また、根鉢が乾いた状態で植えてしまうと水分を吸収しにくいため、スムーズに根付きません。どぶ漬けをすると活着がスムーズになり、おかげで初期生育が順調になります。
基本は、水を入れたバケツやたらいなどの容器の中にポット苗を並べて給水するのですが、菜園家によってどぶ漬けのやり方にこだわりがあるようです。
“ブクブクと水に浸して、木陰で2時間くらい休ませてから植える”“前日の夕方に給水し、一晩落ち着かせて植える”“ 水を浅めに張ったたらいにポット苗を並べ、ポットの底穴から自然に水がしみてくるのを待つ。根鉢の表面が湿ってきたら植えつける”など、さまざまです。
“木酢液を少し垂らして約500倍に希釈した水をどぶ漬けに利用する”“有機液肥の希釈液でどぶ漬けする”“汲み置いた常温の水を使う。冷たい水ではかわいそう”など、水へのこだわりもいろいろです。
根鉢にたっぷり給水してから植えつけると活着がスムーズになる。
ボカシ肥料
【用例】元肥と追肥に手づくりのボカシ肥料を使う。
ボカシ肥料は有機質肥料に水を加えて、微生物に発酵させたもので、元肥にも追肥にも利用できます。市販もされていますが、簡単につくれるので手づくりするのがおすすめです。
使う材料に決まりはないので、手に入りやすいものを利用するといいでしょう。米ぬかやもみ殻、油かす、草木灰、魚粉、おから、茶殻、コーヒーかすなどが材料として使えます。複数の有機質肥料をブレンドするとミネラルが豊富ないい肥料になります。
材料に加える水の量が成功のカギ。少ないと発酵が進まず、多いと腐敗します。少しずつ水を加えながら材料となじませ、強く握ると材料が団子になる程度が適量です。指の間から水が滴る場合は水分が多すぎなので、乾いた材料を追加して調整します。
途中で混ぜて空気に触れさせて発酵を進める“好気発酵”と空気に触れさせない“嫌気発酵”があります。
紹介する嫌気発酵のボカシ肥料は少量でも仕込めて家庭菜園向きです。暖かい時期は1か月、冬は2~3か月で甘酸っぱい香りがすればできあがり。畑ですぐに使えます。
十分に乾燥させれば保存できますが、時間が経つと肥料効果が薄れるので、半年くらいで使い切るといいでしょう。
【ボカシ肥料のつくり方】
◆材料
油かす2:米ぬか1:水
◆つくり方
01 すべての材料を混ぜておく。混ざった材料に少しずつ水を加えてなじませていく。握って団子になるか、水加減をチェックする。
02 空気を押し出しながらビニール袋に材料を詰めていく。口をきっちり縛り、フタ付きのバケツに入れて直射日光や雨が当たらない場所で保管する。
03 暖かい時期は1か月、冬は2~3か月で完成。表面に生える白いカビは混ぜ込んでも大丈夫。
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