おすすめのサトイモの種イモ品種
捨ててしまいがちな親イモが、じつは“最高の種イモ”!
サトイモの種イモを採るならこの品種がおすすめ!
・石川早生(いしかわわせ)
・セレベス
・大野芋(おおのいも)
【おすすめポイント】
●石川早生は、大阪府発祥とされるサトイモの代表品種。多くの子イモをつけ、育てやすい。
●セレベスはぬめりが少なく、ホクホクした食感。特徴的な赤い茎も食べられる。
●大野芋は、福井県大野地方の在来種。生育旺盛で、卵形の子イモが親イモを覆い隠すほどびっしりとつく高級サトイモ。
農林水産省が「登録品種」として認めた農作物のタネや苗は、開発者の知的財産権の保護のため、その独占的販売権が25年(樹木の場合は30年)認められます。つまり、登録品種の種苗を増やして販売、譲渡することは原則禁止。ただし、家庭菜園での自家消費を目的とした採種は禁じられていません。
サトイモのタネ採りのポイント
掘り上げた株をまるごと土つきで保存する!
ポイント1:連作を避け、肥沃な土地でたっぷりの水で育てる
サトイモはアジアの熱帯地方原産。もともと熱帯雨林の陰樹として育ってきたため、高温多湿の気候と半日蔭の肥沃地を好みます。そこで日本では「田イモ」の別名があるほど、田んぼの畦など水が豊富な場所で育てられてきました。連作障害が出やすいので、3年は同じ場所を避け、肥沃地で乾燥しないように育てます。
ポイント2:混植&交互連作の実践で自然に育てる
サトイモは肥沃地を好みますが、地中に余剰な未熟有機物や窒素があると病虫害にあいやすくなります。
そこでショウガ、エダマメ(ダイズ)との混植がおすすめ。ショウガが土壌の病原菌を抑え、エダマメの根に共生する微生物が窒素を固定して、お互いに生育がよくなります。
翌年はショウガの場所にサトイモ、エダマメの場所にサトイモ、と位置をチェンジすると連作障害の予防にも効果的です。
ポイント3:サトイモの種イモは“親イモ”がベスト!
サトイモの親イモは食べずに捨ててしまうことが多いと思いますが、じつは最高の種イモなのです!一番大きく、養分をたっぷり蓄えている親イモを、翌春に植えると立派な株に育ちます。
親イモ、子イモ、孫イモを切り離さず、土つきのまま、8度以下にならない10~20度の場所でもみ殻に埋めて保存すると傷みづらく、よい状態で越冬できます。
⇒種イモの保存の仕方は、後述の「種イモを保存する」を参照。
ポイント4:早植え厳禁。“芽出し”して、植えつけ適温を待つ
サトイモは寒さに弱く、早植えすると寒さで傷む危険が大。8度を下回ると枯死します。そのため、植えつけは最低気温が15度以上になってから。
早く買った種イモは、プランターに腐葉土を入れて、その中に埋め、気温25~30度の室内に置いておくと“芽出し”ができます。
自家採種の種イモも保管場所の温度が15度以上になったら箱から取り出して、同じように芽出しをします。
⇒芽出しの仕方は、後述の「春、種イモを“芽出し”する」を参照。
サトイモのタネ採りのツボ
一般的なサトイモの親イモは、かたくておいしくないものが多いので、捨ててしまっている人が多いと思います。しかし、前で紹介したように、大きくて養分たっぷりの親イモは、最高の種イモ!
ただし、熱帯性植物のサトイモは8度以下の寒さに当たると傷み、春までに溶けてしまいます。翌春、種イモとして使うためには適切に保存することが重要です。
そこでおすすめなのが掘り出した株を逆さまにし、土つきのままで段ボール箱に入れてもみ殻に埋める方法。気温が10~20度の場所に置いておくと、もみ殻の断熱効果と保湿効果でよい状態を保てます。