
ナスとは?(特徴)
煮ても焼いても、また揚げてもおいしく、どんな料理にも相性抜群のナス。種類も多く丸い米ナス、丸ナス、中長ナスなどいろいろ。早生の長ナスが、育てやすくおすすめの種類です。
・ナス科
・栄養/栄養分は少ないが、利用範囲はとても広い。
・性質/日なたと高温を好む。水と肥料を好む。
・病害虫/テントウムシダマシ、アブラムシ、ハダニなどに注意
・連作/2~3年は不可
種まきと収穫に適した時期
■種まき:5~6月頃 ■収穫:6~10月頃
※野菜作りにはそれぞれに適した時期があります。
※関東地方を基準としたものです。関東より暑い地方や寒い地方で栽培する場合は時期の調整が必要です。
上手に作るためのポイント
★収穫したらお礼肥を与える
ナスは肥料を好み、よく吸収します。硫安などのチッソ肥料を主に、硫酸カリなどのカリ肥料を10~20%混ぜたものを与えます。追肥は遅れないようにたびたび与えるようにしましょう。

育て方
1. 土を改良する
苗を植えつける2週間前に、畑に、苦土石灰を1平方メートル当たり150gをまいて、土をよく耕します。
2. 元肥を入れる
苗を植えつける1週間前に、化成肥料を1平方メートル当たり約150gまきます。土の表面だけでなく、深いところまでよく肥料が混ざるようにします。
3. うねを作る
土を平らに整地してから、90~100cm間隔に深さ15cmの溝を掘り、1平方メートル当たり堆肥2kg、化成肥料50gを施します。掘り上げた土を戻して、幅90~100mのうねを作ります。
●堆肥の位置がうねの中心より横にずれていることが大切。真下にならないように注意します。
●湿りの多い畑ではうねを高く、乾きがちな畑ではうねを低くします。周囲の土は、必ずうねの間の溝より低く掘り、水がたまらないように注意します。水がたまると、青枯れ病、立ち枯れ病などにかかりやすくなるからです。
●溝に入れた肥料の上ではなく、肥料の横10~15cmのところに苗を植えます。
4. ビニールを地面に敷く
苗を植えつける5~7日前にビニールを地面に敷きます。これをフィルムマルチングといいます。ビニールをうね全体をカバーできる大きささに切り、両側の溝の部分に土をかけて、ピッタリつけるように張ります。
フィルムマルチングに使うビニールは、園芸用の黒いポリエチレンフィルムが重宝ですが、日常生活の透明なビニールでもかまいません。フィルムマルチングをすると、太陽熱で病原菌が死滅し、害虫の発生・飛来を防げます。
また、地温(地面の温度)を高く保ち、水もちもよくなるので、生育がグンとよくなります。フィルムマルチングをする前に、たっぷり水をやることを忘れずに。
5. 苗を用意する
5月上旬~中旬に苗を購入します。苗は、茎が太く、節間(節と節の間)がつまっていて、丈夫なものを選びます。

6. 植え穴を掘る
フィルムマルチングに、ハサミやカッターで直径7~8cmの底ぐらいの穴をあけ、穴の中の土を掘り出します。植え穴の深さは15cm程度にし、底にハイポネックスなどの液肥1000倍液をたっぷりかけます。
7. 苗を植えつける
植え穴に苗を入れ、土をかけ、もう一度水をやります。苗はなるべく浅く植え、根元が高くなるように、根が見えない程度に土を入れます。
ナスの植え付けは、他の野菜(トマト、カボチャ、キュウリ)よりも少し遅らせたほうがうまくいきます。地温が低いときに植えても、根がのびないので苗がよく育ちません。地温が15℃以上になってから植えるようにします。ただしフィルムマルチングをする場合は、霜の心配がなくなれば、比較的早めに植えつけることができます。
苗は傾かないようにまっすぐに植えるのがコツです。苗が傾きそうな場合は、支柱を立てます。苗をそのままにしておくと、茎が曲がり、枝ののびが不ぞろいになって、しっかり育たないことがあるからです。支柱を立てた後、ビニール袋であんどんを作ってやれば、さらによいでしょう。
ナスは大株になるので、複数の苗を植えるときは、苗と苗の間(株間)を50cm以上離します。
8. 開花
つぼみが大きくなると花が咲きます。最初に咲くこの花を一番花といいます。一番花が咲きだすころになると、地際に近い葉の付け根から枝がのびてきます。これをわき芽といいます。

9. わき芽をかく
わき芽は放っておくと、実のなりが悪くなるので、早めに取り除きます。これをわき芽かきといいます。わき芽をかく時は、指でかきとるようにします。
わき芽をかく時に、一番花のすぐ下の葉2枚のつけ根から出ている2本のわき芽を残して、それ以外のわき芽をかくことを3本仕立てといいます。一番花のすぐ下のわき芽2本は、強いので残します。こうすすと、一番花の上の芽と、一番花のすぐ下の2本の芽、つまり3本の芽がのびて強い枝になります。
3本の枝に葉が2~3枚できると、つぼみができ、そこでまた枝が分かれます。このようにして育てると、枝が、重ならないように、自然に三方にのびていきます。わき芽をかく時にハサミで切ると、一つのわき芽に病原菌があった場合、次々の病気が移ってしまうことがあるので、必ず指でかきとりましょう。
10. 支柱で枝を支える
枝がのびてくると、風で倒れやすくなります。また、枝が水平より下がると、生育がとまってしまいます。そこで、支柱を立てて主枝を支え、わき枝をつるしてやります。長さ2mぐらいの太くて丈夫な支柱とひもを用意します。まず、支柱を地面に垂直に立てます。支柱を立てる位置は、根を傷つけないように、20~30cm根から離します。
次に、支柱の頭にひもをつけて、大きい枝をひもでつり上げます。これを誘引といいます。たくさん実がついてくると、びっくりするほど枝が下がります。枝が水平より下がると、生育がとまり、実がならなくなってしまいます。そこで、誘引するときは、枝が水平より上になるように、ひもで調整します。水平より垂れる枝は、切り取り、そのほかの枝をつり上げます。
11. 肥料をたびたび施す
ナスは生育中もよく肥料を必要とするので、二番花が咲くことに、また肥料をやります。これを追肥といいます。追肥は、硫安などのチッソ肥料を主にし、これに硫酸などのチッソ肥料をおもにし、これに硫酸カリなどのカリ肥料を10~20%混ぜたものがよく、1回にひとつかみをうねの長さ約1.5mに施します。追肥のコツは、遅れないように、少量ずつたびたび与えることです。

12. はじめの実はやや小さめで収穫する
はじめの実はあまり大きくしないで収穫します。これは大切なことで、株がよくできでいないのに果実を大きくすると、株の勢いがなくなって、たくさん収穫できなくなるからです。はじめは株を充実させることが大切です。
13. 不要な枝や葉を整理する
ナスは、温度が高くなるにしたがって生育するのが早くなりますが、葉や枝が込みすぎると病気が出たり害虫がついたりします。枝はあまりとらなくてもよいのですが、実のなった後の下葉で黄色になった葉や地面に近いところの葉は摘み取ったほうがよいでしょう。

14. 収穫する
開花後約20日で収穫できるので、色・形の良いものから収穫していきます。手で収穫すると、トゲがささったりするので、ハサミで切って収穫します。収穫が遅れると、株の負担が増えるので、みずみずしい実をあまり大きくならないうちに収穫していきましょう。
ナスを使った料理 おすすめレシピ

自分で作ったナスは、特別美味しく感じます!万能な野菜ですが、ここでは特におすすめのナス料理のレシピをご紹介します。
『ナスと豚肉のみそ炒め』
合わせ調味料をあらかじめ合わせておくのがコツ!
・ナス 4個
・豚薄切り肉 200g
・サラダ油、ごま油 各大さじ1
<下味用調味料>
・酒、しょうゆ 各小さじ1
・シシトウガラシ 10本
・長ネギ 10cm
・ショウガ 1かけ
<合わせ調味料>
・赤みそ、砂糖 各大さじ3
・酒 大さじ2
・しょうゆ 大さじ1と1/2
【作り方】
①豚肉は一口大に切り、下味用の調味料にからめます。
②ナスは縦半分に切ってから乱切りにし、水にさらしてアクを抜きます。
③長ネギは斜めに切り、ショウガは薄切りに、シシトウガラシは縦半分に切ります。
④合わせ調味料をよく混ぜ合わせます。
⑤中華鍋にサラダ油とごま油を熱して豚肉を炒めます。
⑥豚肉の色が変わったら、長ネギとショウガを加えます。
⑦ナスを加えて炒め、しんなりしたらシシトウガラシを加えます。
⑧仕上げに合わせ調味料を加えて、全体にからめます。
『焼きナス』
よく冷やしたナスの美味しさは格別!2種類のつけ汁を添えて!
・ナス 8個
・青じそ 8~12枚
・ショウガ(すりおろしたもの) 適宜
<八方汁>
・和風だし汁 1/3カップ
・しょうゆ、みりん 各大さじ2
<ごまだれ>
・すりごま 大さじ3
・和風だし汁 大さじ3
・しょうゆ 大さじ1と1/2
・砂糖 大さじ1/2
・塩 少々
【作り方】
①ナスはがくを取り除き、そのまわりに浅く切り込みを入れ、ナス全体の縦の方向にも包丁の刃先で1cm間隔に浅く切り込みを入れます。
②焼き網にナスをのせ、皮が焦げるくらいになるまで焼きます。
③焼きあがったナスは、少し冷まし、竹串でナスの皮をむきます。
④鍋にだし汁としょうゆ、みりん、酒を合わせて煮立て、八方汁を作ります。器にナスを盛って冷ました八方汁を注ぎ、青じその千切りとショウガを上に載せます。ごまだれをかける場合は、すりごまをだし汁でのばし、しょうゆと砂糖、塩を加えて調味し、たっぷりとナスにかけます。

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