トマトの雨よけ栽培例。畝の脇にムギが植えてあり、畝はワラでマルチング。万全の備えだ。
豪雨対策
排水の工夫、土の団粒化を進めたい
昨今は、集中豪雨に襲われることがしばしば。土の流亡はその後の野菜づくりに大打撃となります。
何日も水が引かない畑は要注意。野菜は根腐れを起こし、病気も多発します。排水の工夫は必須です。
同時に、水はけと通気性のいい団粒構造の土づくりに努めましょう。
1. 明渠(めいきょ)、点穴(てんけつ)づくりで排水を改善
明渠と点穴は家庭菜園で容易にできる排水の工夫です。
明渠は排水目的で掘る溝で、雨水を畑の外に流します。
点穴は畑の通路などに掘る深さ30cm程度の穴。穴に水が集まり、畝と通路の過湿が軽減されます。雨後に水が溜まる場所や、土が締まっている場所に穴をあけます。
2. 通路にムギ類を植える
通路にムギ類を植えると水はけがよくなります。根を深くまで伸ばし、かたい地層にまで細かい穴を無数にあけるからです。
大雨でもサッと水が引き、通路がぬかるみにくくなります。野菜の生長も妨げられません。通路に草を生やすことでも同様のメリットが得られます。
3. 粘土質の畑では高畝+草マルチ
水はけが悪い粘土質の畑では、高畝を用意して畝の過湿を防ぎます。
ただ、高畝は大雨が降ると土が流れて崩れやすいのが難点。マルチフィルムや有機物マルチを利用して、畝が崩れるのを防ぎます。
雨が降らずに水不足になると、高い畝ほど乾燥しやすくなります。なおのことマルチフィルムや有機物マルチで保湿を図る必要があります。
4. 雨よけ栽培が奏功
雨を嫌うスイカやメロン、雨で実割れや病気が多発するトマトを育てる場合は、雨よけ栽培がおすすめです。
支柱とビニール資材を利用して畝に屋根を掛けておきます。
団粒構造の発達した土づくり、ムギ類の作付け、明渠や点穴づくり、マルチ栽培などの合わせワザで、豪雨や干ばつ、猛暑を乗り切りましょう。
粘土質の畑は高畝を利用
水はけが悪い粘土質の畑では、高めの畝をつくり、畝の通気と排水をよくする。高畝をつくることによって十分な“作土層”を確保できる。作土層とは、野菜が根を張る通気性のいい表層の部分のことで、深さ20cm程度あればほとんどの野菜は健全に育つ。
穴を掘ると水がしみ出てくるような地下水位の高い畑、また、浅い位置にかたく締まった耕盤層がある畑では、高畝を用意して作土層を確保するとよい。
畑に水が溜まらないよう明渠をつくる
緩やかな傾斜をつけた溝を掘り、雨水を畑の外に排水する。雨後に畑を観察し、地形の傾斜や水が溜まる場所を探して、明渠のラインを決める。明渠は埋まりやすいので、ときどきメンテナンスが必要。
地下水位が高い畑では点穴掘りは逆効果!?
地下水位が高い畑では、点穴を掘ると水が湧くことがあります。水はけの改善どころか、大雨が降るたびに畑が水浸しになってしまいます。
周囲に畑よりも高い位置に水田や沼がある場合は要注意。深めの点穴を掘るのは控えます。明渠や高畝で土壌環境を整えるといいでしょう。