01 酢、焼酎、木酢液が効く
野菜は水道水よりも雨が好き、ストチュウ水は雨の代用
ストチュウ水とは、長野県長野市で自然菜園スクールを主宰する、竹内孝功さんが推奨する、
「ひと雨降ったあとの畑を眺めると、野菜の葉がキラキラと輝き、とても元気そうな印象を受けます。野菜の生長に水は欠かせないものですが、経験上、水道水を与えても野菜はそれほどにはよろこんでくれません。
水道水と雨には何か決定的な違いがあると思っています。たとえば雷の多い年はイネが豊作になることが知られていますが、実際、雷を伴う雨の中は窒素含有量が多いことがわかっています」と竹内さん。
そこで、水道水に代わるものとして竹内さんが考案したのが、酢、焼酎、木酢液をほんの少量ずつ水にたらしたストチュウ水です。
「ストチュウ水はいわば“人工の雨”です。私は、ビニールハウスで育苗をしています。そのため苗には雨がかかりません。
育苗中はほぼ毎朝水やりをしますが、水道水ではなく、ストチュウ水を与えると、病気にも強く、苗の生育が明らかによくなることがわかりました。
その後、酢、焼酎、木酢液の配分をいろいろ変えて試行錯誤をして落ち着いたのが、現在私が育苗や畑の野菜づくりに利用している混合配分のストチュウ水です。野菜の葉にかかる水はとても重要です」と、竹内さん。
野菜は根からだけでなく葉からも養水分を吸う
野菜が養水分を吸うのは根からだけではありません。
雨やストチュウ水が野菜の葉にかかると、水分や含まれる成分の一部は、葉面から直接吸われて、野菜に利用されます。
陸上に生き物が進出する以前の太古の時代、生物の生息圏は紫外線を避けられる海の中でした。シアノバクテリアや植物など、光合成をする生き物が海中に増えると酸素が大量につくり出されました。そのおかげでオゾン層が形成されると有害な紫外線が遮られて、植物を含めて生物は陸上に進出できるようになりました。
植物はもともと海中にいたときには体全体から養分を吸っていましたが、地上に土ができてくる過程で根を発達させ、共生微生物を獲得して根から養分を吸収するようになりました。根からの吸収がメインですが、今でも植物には葉面から養分を吸収する能力が残っています。
「ストチュウ水を定期的に葉面散布すると、野菜は病害虫に強い健康体質に変わります。また、根が弱っていて養分吸収が悪いときでも、葉面からの直接吸収により野菜のトラブルは速やかに改善され、極度の乾燥、低温や長雨で生育不良の野菜の元気回復にも、ストチュウ水が有効です」と竹内さん。
■ストチュウ水の原液を水で約1000倍に薄めて利用します。
■野菜の葉にたっぷり散布します。
02 ストチュウ水のつくり方
醸造酢、焼酎、木酢液を混ぜストチュウ水の原液をつくる
ストチュウ水(原液)のつくり方はいたって簡単です。醸造酢、焼酎、木酢液(または竹酢液)を同量ずつ混ぜるだけです。
葉面散布をする度に、ジョウロの水に醸造酢、焼酎、木酢液を少量ずつ入れても構いませんが、原液をあらかじめつくっておけば便利です。
*材料
・醸造酢………300ml
・焼酎…………300ml
・木酢液………300ml
●焼酎は安価なアルコール度数25度程度の甲類焼酎で構わない。
●木酢液のほか、竹酢液でもよい。
●保存用に1Lのペットボトルを用意。
*作り方
3種の材料を同量ずつ混ぜる
3種の材料を同量ずつ混ぜたらよいので、1Lのペットボトルを保存容器として利用するなら、それぞれ300mlずつを量って合わせます。
何度かボトルを振って混ぜたらストチュウ原液のできあがりです。
*保管方法
つくった原液はペットボトルで保管
キャップを締めて冷暗所で保管し、ワンシーズンを目安に使い切りましょう。
後述の通り、水で薄めて葉面散布に使いますから、900mlの原液があれば、7Lのジョウロなら40回以上利用できます。