そもそも盆栽とは、「幹や枝に手を加え育てた鑑賞用の鉢植え」のこと。樹形をととのえ、小さな鉢の中に自然の景観を表現するところがふつうの鉢植えとの違いで、思いどおりに仕立てるには何年もの月日が必要です。
大きく育てていくためには、時間だけでなく場所や費用も必要で、そのため、盆栽は比較的時間などに余裕がある人の趣味として広まってきました。
それをもっと簡単に、時間をかけずに狭い場所でもできるようにと生み出されたのが「超ミニ盆栽」。超ミニ盆栽なら、苗木の用意ができればつくってすぐに飾って鑑賞できます。
しかも小さくてかわいいのが魅力。手入れをきちんとすれば長く育てていくこともむずかしくなく、成長や樹形の変化も楽しめます。超ミニ盆栽は、手軽につくって、育てて、飾ることが楽しめる、若い人や女性にもおすすめの趣味なのです。
*つくる楽しみ
植物をただ育てるのではなく幹の形など、自分の思うままにつくりあげていくのが盆栽の魅力。超ミニ盆栽なら、手軽に始められます。
*育てる楽しみ
放っておくとたちまち弱ってしまうけれど、それも超ミニ盆栽の魅力。手をかければ何年も成長しつづけ、経年の変化も楽しめます。
つくりたい樹形をイメージしながら、枝の管理。慣れてくれば、この作業も楽しい時間に。
写真左はマツの一年生、右は二年生。小さいながらも、時間を経るうちに風格が出てきます。
*飾る楽しみ
超ミニ盆栽は、雑貨のようなかわいらしさ。透明な小物入れや小皿など、身近なものを使って手軽に素敵に飾ることができます。
たくさん並べればかわいらしさが倍増。窓辺や棚の上、キッチンなど、飾る場所は自由です。
超ミニ盆栽づくりの段取り
大きな盆栽と比べるとずっと手軽につくれる超ミニ盆栽ですが、1日、2日でできあがるわけではありません。でも、その過程も盆栽づくりの醍醐味。手間をかけ、変化を観察し、楽しみながらつくってみましょう。
*まずは苗木を育てる
超ミニ盆栽用の小さな苗木は、お店では売られていないので自分で用意します。その方法は大きく分けて2種類。
ひとつは挿し木で増やす方法で、切り取った枝などを土に挿して発根させます。もうひとつは種子から育てる方法で、これは「実生」といいます。
超ミニ盆栽用の苗木は、アイビーなどつる性植物のように採取してすぐに使えるものもありますが、たいていは挿し木や実生で育てて1か月~1年ほどたってから苗木として使えるようになります。苗木は、すぐに超ミニ盆栽に仕立てずに苗木として育て続けても構いません。いくつかの苗木を育てておけば、いつでも、好きなだけ超ミニ盆栽がつくれます。
*超ミニ盆栽をつくる・育てる・飾る
苗木が育ったら、いよいよ超ミニ盆栽づくりです。小さな鉢に苗木を植えつけます。
ふつうの盆栽は、鑑賞できるように仕立てるまでに何年も必要ですが、超ミニ盆栽は植えつけたらもう完成です。その一方で、樹形をととのえたり、花を咲かせたり実をつけさせたりといった、盆栽ならではの醍醐味もちゃんと味わうことができます。
盆栽は、毎日の水やり、定期的な施肥や消毒、枝や根の管理をすることで、1年、2年と長く楽しむことができます。基本的には屋外で育てます。部屋に飾るのは1~2日程度にとどめておきたいところですが、ここぞというときにおしゃれでかわいいインテリアのように飾ることができ、目を楽しませ、心をなごませてくれます。
つる性の植物をくるくると巻いた「マキマキ超ミニ盆栽」。盆栽初心者にもおすすめ。