
限りなく天然モノに近い、感動のおいしさを家庭菜園で!
株式会社富士種菌(山梨県南アルプス市)が、マイタケの完熟ホダ木の販売をスタート。
本誌読者アンケートでは、キノコ栽培に前向きな回答が多く、“長年シイタケ栽培をしている”という実践派から、“久しぶりにやってみようと思う”“やったことはないがキノコを育ててみたい”という回答まで含めると、全体の7割を超えました。
今回、初心者でも容易に育てられる、マイタケの原木栽培を紹介します。植菌済みのマイタケ完熟ホダ木を利用し、畑やプランターに埋めて栽培する方法で、菌床栽培とはまったく違う、天然マイタケに近いおいしさを家庭菜園で味わえます。
完熟ホダ木を製造・販売する富士種菌の猪瀬真佑さんに、マイタケ原木栽培のコツを教えてもらいました。
猪瀬真佑さん
いのせまゆ●株式会社富士種菌で企画を担当し、キノコの原木栽培の魅力と可能性を発信している。富士種菌(山梨県南アルプス市)では、原木シイタケをはじめさまざまな原木キノコ栽培用の種菌を研究開発・製造販売している。

概要
水はけがよく明るい場所に完熟ホダ木を埋めてスタート
栽培に適した場所は、水はけがよくて、木漏れ日が当たる程度の明るい場所。直射日光が当たる場合は、遮光シートなどを利用して日よけをします。
また、堆肥置き場や残渣置き場の横など、有機物が多い場所は避けます。雑菌が集まりやすく、マイタケ栽培に影響が出る恐れがあるからです。
完熟ホダ木を入手したら、畑に溝を掘って埋め、ホダ木の上に3~5cm覆土します。
水はけがやや悪い場所では畝を高めに立ててホダ木を埋めるか、畝の周囲に溝を掘って水はけをよくします。水はけがいい場所なら、フラットの畝で問題ありません。
また、粘土質や水田跡など水はけが期待できない畑では、枠をつくって上げ床畝のスタイルでホダ木を埋めるといいでしょう(写真参照)。
ホダ木を埋めたら落ち葉やワラで畝の表面をカバーし、たっぷり水やりをして土を湿らせ、その後は基本的に雨まかせで栽培。夏に雨が降らない場合は水やりをします。
秋、芽が出たら風よけと雨よけ品質のいいマイタケが育つ
芽の生長期に触ったり、強風に当たると生長が滞り、また、育つ過程でたくさんの雨が当たると、水気が多いキノコになります。芽が出たら、風よけと雨よけの工夫をします。ビニールや不織布のトンネルを利用するとマイタケの品質が上がります。
収穫は秋。株の根元から引き抜き、地面に根元の取り残しがある場合は、きれいに取り除いて収穫します。
収穫後は雨よけを外し、覆土の補修や落ち葉やワラでカバーしておきます。翌年からも収穫が続きます。
梅雨明けまでに完熟ホダ木を埋め秋においしいマイタケを収穫!
水はけのいい畝を用意し、梅雨明けまでにマイタケの完熟ホダ木を並べて埋め、落ち葉でマルチングして栽培開始。プランターの場合は、大きめの角型プランターに完熟ホダ木を2~3本埋めましょう。秋に大きく育ったマイタケを収穫できます。

マイタケ完熟ホダ木は電話で予約注文をする
殺菌したコナラなどの短木にマイタケ菌を繁殖させた完熟ホダ木。家庭菜園で天然に近い極上マイタケが簡単に栽培できる。1本990円(税込み、送料別、栽培の手引き書つき)。
なお、富士種菌のホームページでは「SOLD OUT」表示になっていますが、これは完全予約制のためです。
数量に限りがあるので、注文はお早めに。

半日陰で水はけがいい環境を好む
直射日光が当たる場所なら遮光ネットで覆って日照を調節する。下の写真は、上げ床畝に完熟ホダ木を並べて埋める例。
なお、ホダ木をくっつけて並べると大きなマイタケが収穫でき、ホダ木を5~10cm離して埋めるとサイズは小さいが形のきれいなマイタケが収穫できる。これはお好みで。

土をかけてホダ木を埋める。覆土は3~5cmが目安で、ホダ木とホダ木の間にも隙間なく土を入れること。

落ち葉やワラでマルチングして保湿を図る。泥のはね返りも防げる。
