キュウリの栽培の基本情報
・科:ウリ科
・定植:4月下旬~5月中旬
・収穫:6月中旬~8月
気をつけたいトラブル
■害虫
植えつけ時期にウリハムシの被害が出る。あんどんで囲むか不織布か防虫ネットのトンネルで防除する。
■病気
乾燥期にうどんこ病が出やすい。梅雨の時期に出やすいのはべと病。べと病対策にはマルチや敷きワラで泥はねを防ぐことが有効。
■生理障害
根が健全に育たないと、曲がり果ができる。マルチや敷きワラで土の乾燥と過湿から根を守り、雨が降らなければ水やりをする。実を早めに摘み、樹勢の回復を図る。
1:雑草と敷きワラでうどんこ病を防ぐ!
根が傷むといろんなトラブルが生じる
大きく育ってから樹勢が弱くなって、曲がり果ができる場合は、根が傷んでいる証拠です。キュウリは根を浅く張るため、ほかの野菜よりも根が傷みやすくなります。樹勢を回復させることは難しいので、予防をしておくことが大切です。
苗を植えたら畝にはワラを敷きましょう。ワラの敷き方にはポイントがあります。まずは厚く敷かないことです。少し地面が見えるぐらいに敷いて、ワラの隙間から生える草を残します。この雑草が肥料焼けの予防に役立ちます。
キュウリはアンモニア態窒素が苦手で、追肥に未発酵の油かすや米ぬかは使えません。発酵してあるボカシ肥料でも施したあとに微量のアンモニア態窒素が発生します。ただ、畝に雑草があればボカシ肥料を追肥した際に、先に草がアンモニア態窒素を吸ってくれます。キュウリは安心してアンモニアのあとに発生する硝酸態窒素を吸うことができます。
そして、畝と平行にワラを敷くこと。湿り気が維持され、生育と実の味がよくなります。直角方向に敷くと雨や水が通路に流れやすくなります。
キュウリは根を広く張るので、通路にもワラを敷いたり草を生やしたりすると根が守れます。
畝や通路に生える草はうどんこ病の予防にも役立ちます。雑草の先端には水滴がついていることが多いですが、飛んできたうどんこ病の胞子が水滴に落ちると、胞子は破裂します。そのため、野菜への感染率が下がります。通路にムギ類を育てておく場合も、同じ理由でキュウリにうどんこ病が出にくくなります。
敷きワラと雑草で根を守る!
キュウリは根が浅く広く張るため、敷きワラで根を守りたい。ほどほどに雑草を生やすと、うどんこ病や肥料焼けも防いでくれます。
2:植えつけ後しばらくはネットでウリハムシ対策
株も根も弱りやすいので病虫害がつきやすい
キュウリはウリハムシ対策が必要です。ウリハムシはウリ科につく害虫で、葉や実を食害します。幼苗期に食害されると困るため、苗を植えつけたらウリハムシガードをかぶせます。
ウリハムシガードには「収穫用ネット」という、タマネギやジャガイモなどを入れる網状の袋が利用できます。堆肥袋を使うあんどん型だと支柱がいりますが、収穫用ネットだとかぶせるだけで済んで、害虫が天井部から入ることもなく、しっかり防ぐことができます。
病気ではべと病がよく発生します。予防には畝にワラを敷いてください。泥はねによって感染することが多いからです。マルチフィルムだと根が傷みやすくなるのでおすすめしません。敷きワラなら地温が上がるのを抑え、根傷みも防ぎやすくなります。
キュウリ栽培では根張りが大切です。根がしっかり張れないとすぐに株が弱って、いい実が採れず、収穫もストップしてしまいます。キュウリは栽培が難しく、株や根がすぐに弱ります。弱ったところに病害虫もつきやすくなります。株と根を弱らせないためのポイントは、①堆肥と有機質肥料で地力のある土づくりをする。②広い畝で育てる。③畝にワラを敷く。④30cmぐらいの草丈までは早めに摘果する。⑤こまめに収穫することです。
まっすぐでおいしいキュウリを多く採りたい場合は②が重要です。狭い畝だと根がすぐに通路まで伸び、根を切ってしまう恐れが多くなります。④の摘果もやらないと株が大きく育ちません。摘果すると根が張り、株に力がつきます。
収穫用ネットで苗を覆う
若苗の頃まではウリハムシを防いでください。収穫用ネットはタマネギなどを出荷や保存する網袋です。「出荷ネット」や「野菜ネット」という名前でも売られていて、ホームセンターなどで購入できます。網袋を逆さにし、苗にすっぽりかぶせます。
【ウリハムシ】
ウリハムシは成虫が葉や実を食害します。
成虫は円を描くように葉をかじります。幼苗の頃にかじられると初期生育が悪くなります。ウリハムシが多い年は実にも網袋をかぶせておくと安心です。
畝幅、畝間を広く取り根の傷みを防ぐ
キュウリは根を浅く広く伸ばしていきます。病害虫を防ぎ、良質な実を多く採るためには、根が弱らないように育てます。根張りをよくするために、畝幅は90cm程度、株間は50cmほど取って、ゆったり植えるといいでしょう。