高畝・平畝
【用例】水はけが悪い畑では高畝を用意する。砂質の畑では平畝で何でもつくれそうだからうらやましい。
畝は野菜を育てるスペース。畝の両脇は人が歩いて野菜の世話をする通路です。
一般に、高さ10cm以上の畝を高畝、高さ10cm未満の畝を平畝と呼びます。畝の高低で土の湿り具合をコントロールできます。高い畝ほど乾きやすく、反対に低い畝は湿っぽくなります。
水はけが悪い粘土質の畑や、水がたまりやすい地下水位の高い畑(水田だった転換畑など)では、高畝を利用すると、湿気に弱い野菜でも根腐れなく栽培することが可能になります。
水はけがいい砂質や砂壌土の畑では、高さのないフラットな畝や低めの畝で、たいていの野菜が育てられます。なお、畝は両脇から土を寄せてつくるので台形をしています。
“畝幅”は台形の底辺の長さのことをさします。
鞍つき畝
【用例】鞍つき畝でスイカの苗を育てたら大成功だった。
高畝の一種で、土をマウンド状に盛り上げてつくるのが特徴です。野菜1株ごとに用意します。水はけが悪い粘土質の畑では、スイカ栽培で鞍つき畝がよく利用されます。
スイカは原産地がアフリカの砂漠周辺です。カラッとした砂質の畑では根をよく張って問題なく育ちますが、粘土質の畑では工夫が必要です。
一般的に水はけ改善には高畝が利用されますが、広い畝全体を高くするには労力がかかり、寄せる土の量も足りません。
鞍つき畝の場合は1株ずつに高畝をつくる方式なので、省力で合理的。家庭菜園でのスイカづくりにぴったりです。
具体的には、直径50cm、深さ30cmの穴を掘り、完熟堆肥と有機質肥料を入れ、土と混ぜないで埋め戻します。その上に土を寄せて直径50cm、高さ20cmのマウンド状の小山をつくったら鞍つき畝の完成です。2~3週間してから、スイカの苗を鞍つき畝のてっぺんに植えます。
鞍つき畝に植えられたスイカは、直根を深く伸ばして地下から水分を吸い上げ始めます。地上ではツルが伸び、地中では側根がツルの後を追いかけて伸びていきます。
葉がつくる日陰で地中の根は守られ、葉からポタポタ落ちる雨や夜露も上手に利用します。スイカは順調に生長を続けて、収穫が見込めます。
砂質の畑では、完熟堆肥や有機質肥料を埋めるだけでよく、高さのない平畝で栽培できます。土を盛り上げる必要はありません。
スイカ栽培では鞍つき畝がおすすめ。
腐葉土500g、発酵油かす片手1杯、草木灰ひと握りを埋めておく。
元肥・追肥
【用例】トマトの元肥は控えめがいい。様子を見て追肥をしよう。
野菜を育てる際にあらかじめ施しておくのが元肥です。栽培の途中で補うのが追肥です。有機栽培の場合は、堆肥と有機質肥料を用います。
元肥の施し方には何通りかあります。機械を利用する大規模な農場では、畑全体に元肥をまいて機械ですき込みます。作業効率はいいですが、堆肥や肥料が通路にまで施され無駄が多くなります。
小回りが利く家庭菜園では、畝の部分にだけすき込んで、無駄なく元肥を利用できます。
また、畝の中央や畝の両脇に溝を掘って元肥を埋める溝施肥、野菜を植える真下に穴を掘って元肥を埋める穴施肥なども効果的で、さらに少ない量で全面施肥と同等の効果が得られます。
堆肥や有機質肥料などの有機物は、土壌中の微生物によって十分に分解されてから、野菜の根から養分として吸収されます。有機物が分解される途中で出る物質やガスは野菜の葉や根を傷めます。そこで、元肥を施したら2~3週間落ち着かせてから、苗を植えたりタネをまいたりします。
ナスやトマトづくりで、収穫を長期にわたって続けたい場合は、栽培の途中から追肥をします。有機栽培では、追肥に有機質肥料を利用します。即効性がある発酵済みの肥料(発酵油かす、発酵鶏ふん、ボカシ肥料など)や、有機液肥がおすすめです。
追肥をする際には、地上部に広がった葉先の真下あたりの地面に肥料をまきます。理由は、葉先の下の地中に根の先端があるからです。野菜は根の先端部分で養分をよく吸収します。したがって、野菜が大きくなるにつれ、追肥を与える場所は株元から離れた場所になります。
たとえば、ナスの追肥は枝が大きく広がる頃からは通路にまくことになります。スイカに追肥をする場合は、ツルの少し先の地面に肥料をまきます。根は目の前に置かれたごちそうを見つけて、よろこんで吸収します。
鎮圧・覆土
【用例】しっかり鎮圧したらニンジンの発芽が見事にそろった。ニンジンのタネは好光性種子だから覆土は薄めにする。
鎮圧は、タネまきをする際のとても重要な作業です。家庭菜園では、タネを埋めたら手のひらで押して土とタネを密着させます。土が乾き気味のときは足で踏んで鎮圧することもあります。農業の現場では、鎮圧ローラーなどの農具も使われています。
タネのまき方ですが、タネの大きさの2~3倍の深さのまき溝をつけ、タネを置いて覆土し、鎮圧をするのが基本です。タネまきが終わった時点では、タネの大きさの1~2倍くらいの厚さの土がタネを覆っている状態になります。
鎮圧の目的は、発芽をそろえること。鎮圧により土の表面が締まって水分の蒸発が抑えられ、土が乾きにくくなり、また、地下から上がってくる水分も表層部分にキープされます。土とタネが密着しているおかげで、タネは土から水分をスムーズに吸収でき、発芽スイッチがいっせいに入り、発芽がそろいます。タネまき後に水やりはしません。
体重をかけてしっかり押さえ、タネと土を密着させる。
好光性種子・嫌光性種子
【用例】タマネギは嫌光性種子か好光性種子のどちらでしょうか?